化粧品として商標登録されている商品名、ブランド名、企業名、店名にはどのようなものがあるのでしょうか。
化粧品の本質である美に注目してみると「美白」、「美顔」などの単語が浮かびます。
一方、化粧品のブランド名は横文字が多く、響きがよいため、英語表現が使われていることが多いようです。
そこで、今回は、化粧品として登録されている商標の中で、美の英語表現を含む商標について検索をかけてみました。
ビューティで登録されている商標
Beauty & Co.は商標登録済み
化粧品の商標として、美の英語表現を使った商標はどのようなものがあるのでしょうか。
まずはスタンダードな「ビューディ(Beauty)」で調べてみると、カタカナの「ビューディ」では85件、英語の「Beauty」で90件の商標が登録されています。
いずれもビューディ/Beautyという単語では登録されていません。
その中では、非常にシンプルな表記として、「Beauty & Co.(ビューティー・アンド・カンパニー)」で登録されているケースがあります。
美を扱う会社ということで、化粧品にかかわる企業であれば使いたい表現だと思いますが、すでに商標登録されてしまっています。
この商標を持っているのは化粧品大手の資生堂です。
指定区分は第3分類の化粧品だけではなく、全45分類中23区分に及び、指定商品から指定役務まで丁寧に網羅されており、つけいるスキがなさそうです。
ビューティフルスキンの商標を登録している化粧品会社
次に、ビューティ(Beauty)の形容詞、ビューティフル(Beautiful)でも調べてみました。
やはり、単語での商標登録はありませんでしたが、
Beautiful Skin\ビューティフルスキン
Beautiful Life
BEAUTIFUL JAPAN
としての商標登録・出願がありました。
「Beautiful Skin\ビューティフルスキン」の商標をもっているのは新潟県に本社があるスキンキュア・ラボという会社です。
「Beautiful Skin\ビューティフルスキン」は同社の主力商品ブランドとして2007年からすでに全国で販売されている実績があります。
Beautiful Lifeはクラシエグループが商標登録
「Beautiful Life」の商標を登録しているのは、化粧品から医薬品、食品まで手広く展開するクラシエホールディングスです。
もとはカネボウという社名だったといったほうがわかりやすいかもしれません。
経営破たんしたカネボウ化粧品の後継会社です。
調べたところ、Beautiful Lifeという商品は出していませんでしたが、カネボウ時代の1972年~2000年まで、コーポレートスローガンとして「For beautiful human life」を掲げていました。
商標登録では化粧品、薬品、食品といった同社の事業範囲をすべて抑えているので、ブランド展開の予定があるのかもしれません。
BEAUTIFUL JAPANの商標を出願しているのは問題の元弁理士
「BEAUTIFUL JAPAN」の商標を出願しているのは上田育弘氏という個人です。
実はこの人、商標の世界ではかなり有名人です。
年間1万件以上もの大量の商標を一人で出願し続けており、個人名と、自身が代表を務めるベストライセンスという会社名義の両方で出願を行っています。
商標を出願しているのは、その商標を使いたい人と商標権の売買やライセンス契約を結ぶことを目的としているようですが、そもそも不正出願のため、登録が認められたケースはほとんどありません。
「BEAUTIFUL JAPAN」についても審査待ち状態で、このまま登録されないことが予想されます。
かといって、出願の段階で先願権が発生しているので、商標として使うのは慎重にしましょう。
併せて読みたい:
大量出願に関する記事は、こちらにまとめています。
商標 | 指定区分 | 出願人 | 出願日 | 登録日 | ステータス |
---|---|---|---|---|---|
Beauty & Co. | 03 05 08… | 株式会社 資生堂 | 2011/7/15 | 2012/2/3 | 係属 / 存続-登録-継続 |
Beauty & Co. | 09 16 21.. | 株式会社 資生堂 | 2011/7/15 | 2012/2/17 | 係属 / 存続-登録-継続 |
Beautiful Skin\ビューティフルスキン | 3 | 株式会社スキンキュア・ラボ | 2007/4/25 | 2008/4/18 | 係属 / 存続-登録-継続 |
Beautiful Life | 03 05 21… | クラシエホールディングス株式会社 | 2016/4/8 | 係属 / 存続-出願-審査中 | |
BEAUTIFUL JAPAN | 09 35 42 | 上田 育弘 | 2016/10/23 | 係属 / 存続-出願-審査待ち |
ビューティで登録されている商標
ファインは化粧品メーカーが登録済み
化粧品の商標として、美に関連する英語表現がどのように使われているのかを調べるため、「エレガント」、「ファイン」、「ラブリー」、「プリティ」でそれぞれ検索してみました。
それぞれのヒット件数は以下の通りです。
- エレガント(8件)
- ファイン(27件)
- ラブリー(52件)
- プリティ(12件)
気になるところをいくつか見てみると、まず、「ファイン」単体を単語で商標登録しているケースがあります。
ファインを商標登録しているのは東京都文京区に本社がある阪本高生堂という会社。
理美容店向けの業務用化粧品を製造するメーカーということです。
ファインは同社のオリジナルブランド「ファインコスメティックス」のために商標登録したようです。
が、調べた限りでは、現在のところ別のブランドに力を入れており、ファインという商標がついた商品は扱っている様子がありません。
ラブリーはジュジュ化粧品が商標登録済み
ラブリーについても、単語で登録済み。
しかも2件ありました。
商標登録しているのはいずれもジュジュ化粧品です。
商標登録したのは意外に古く、まず、アルファベットとカタカナの組み合わせ「LOVELY\ラブリー」で商標登録したのが1985年。
約20年たった2006年、ひらがなとアルファベットの組み合わせ「らぶりー\LOVELY」で改めて商標登録しています。
調べた限りでは、LOVELY、ラブリー、らぶりー、いずれの商品も見当たりませんが、広告に使っているのでしょうか。
プリティは審査待ち
プリティは、横浜市に本社を置くイチバンライフという会社が出願中です。
こちらはまだ審議中で、登録まで至っていません。
会社は、アーユルヴェーダを応用した美容・健康関連製品の研究・開発・販売を行っています。
調べた限りではプリティという名前のつく商品はまだ扱っていないようですが、発売の予定があるのかもしれません。
商標 | 指定区分 | 出願人 | 出願日 | 登録日 | ステータス |
---|---|---|---|---|---|
ファイン | 03 30 | 株式会社阪本高生堂 | 1949/7/25 | 1951/5/29 | 係属 / 存続-登録-継続 |
LOVELY\ラブリ- | 3 | ジュジュ化粧品株式会社 | 1979/3/6 | 1985/5/30 | 係属 / 存続-登録-継続 |
らぶりー\LOVELY | 3 | ジュジュ化粧品株式会社 | 2005/5/10 | 2006/7/14 | 係属 / 存続-登録-継続 |
PRITI\ぷりてぃ | 3 | イチバンライフ株式会社 | 2015/10/9 | 係属 / 存続-出願-審査中 |