いまや私たちの生活に欠かせない存在となったコンビニエンスストアですが、業界でも店舗数、売り上げともに最大手を独走しているのがセブンイレブンです。
国内では唯一出店のない沖縄県にも2018年に進出予定で一気に300店を展開する計画があるようです。(2016年11月3日現在の計画)
全国制覇を間近に控えたセブンイレブンはどういう会社なのか、商標の由来とともに見てみたいと思います。
セブンイレブンの発祥はアメリカの氷店だった
長時間営業は顧客へのサービス精神から始まった
日本にとどまらず、いまや世界に6万695店(2016年9月末現在)を数えるセブンイレブンですが、そのスタートは、アメリカテキサス州ダラスの小さな氷販売店でした。
時は戦前の1927年。
まだ家庭用の電気式冷蔵庫がない時代、大きな氷の塊を氷販売店で購入し、冷蔵庫の冷気として使っていました。
それこそ、現在のコンビニのように、人々は毎日のよう氷販売店に通っていたのです。
中でも、サウスランド・アイス社(現7-Eleven社)の氷小売販売店は人気でした。
もちろん、氷はどこで買っても同じです。
サウスランド・アイス社の販売店は他と何が違ったのかというと、営業時間です。
当時の商店の営業時間は当然のように夕方6時ごろには閉まっていたし、キリスト教の安息日である日曜は休みでした。
しかし、冷気式の冷蔵庫は、氷が解けてしまうと使えません。
特に夏場は、氷がなくなったらすぐに補充しなければ食べ物が痛んでしまいます。
そこで、サウスランドの店は夏季になると日曜も休まず、毎日16時間という当時としては極めて異例な長時間営業を行ったのです。
16時間というと、セブンイレブンの初期の営業時間である午前7時から午後11時までとまったく同じ。
コンビニの最大の特徴である長時間営業は顧客へのサービス精神から生まれたわけです。
お客さんの何気ない声がヒントになった
長時間営業を提案したのはジョン・ジェファーソン・グリーンさんという人です。
店のオーナーではなく、販売店を任されていた従業員でした。
しかし、この人、極めて商才に長けた人物でした。
普通、従業員の立場だったら、上司・経営者の支持をまっとうしようということに意識が向くものですが、ジョンは「店のためにいい」と思ったら何でも積極的に取り入れる人でした。
おかげでジョンの店は大繁盛。朝から晩までたくさんのお客さんが氷を買いにきます。
そのうち、ジョンは、お客さんの何気ない一言に大きな関心を持ちました。
「ここで、卵や牛乳が買えたらいいのに」
牛乳や卵を家の冷蔵庫で冷やしておいても、家庭用のものは容量が小さいのでどうしても保存に限界があります。
その点、常に大量の氷がある氷販売店に品物があれば、冷えた商品がいつもで手に入るのに、というお客さんの心理をそこに見抜いたのです。
さっそく、ジョンは本社にこの件を提案。
本社も了承し、食品や日用雑貨を置き始めたところ、これが評判となり、やがてジョンの店は食品をはじめとする日用品を長時間営業で販売する店となり、現在のコンビニエンスストアの原形を作ったのです。
商標7-ELEVENの由来
誕生しときにはコンビニエンスストアではなかった
氷販売店からコンビニに様変わりしたジョンの店は、営業時間もそのまま継続しました。
コンビニエンスストアにしたから長時間営業にしたのではなく、氷店のときから午前7時開店、午後11時閉店だったのです。
もはや、氷販売店とは言えなくなったジョンの店は、「トーテムストア」と呼ばれていました。
ジョンの店の店先に、目印としてトーテムポールが建てられていたことが由来になっています。
営業時間を店名にした
トーテムストアは、あくまで呼び名。
もう氷販売店ではなくなったジョンの店は、新たな店名を必要としていました。
1946年、長時間営業の代名詞となった午前7時開店、午後11時閉店という営業時間をそのまま店名とし、「7-ELEVEN」に看板を変えました。
日本では1973年、後のセブンイレブンジャパンの前身となるヨークセブンが、サウスランド社(当時)とライセンス契約を交わし、コンビニエンスストア業態を初めて日本でスタートさせました。
そのころはまだ米本国と同じ午前7時開店、午後11時閉店でした。
後にほとんどの店が24時間営業になりましたが、商標はそのまま残ったのです。
ロゴマークに隠された謎
ところで、セブンイレブンについては、店舗の看板でも使われるおなじみのロゴに、一つの謎があります。
よくみると7 ELEVENの最後の“N”の字が、なぜか小文字の“n”になっているのです。
このロゴがアメリカで誕生したのは1946年で、当時のことを知る人はもう残っていないので、社内でも理由は不明。
いろいろな説があるそうですが、もっとも有力な説は、7‐ELEVENでは商標登録できなかったのではないか、というものです。
おそらく、“7‐11”で商標登録したかったのでしょうけれども、数字だけなので当然商標登録は無理。
そこで、11をアルファベットのELEVENにしたけれど、これも難しく、最後のNの字のみを小文字にしたことでやっと商標登録が認められたのではないか、というわけです。