小学生の図画工作の授業で「セメダイン」を使ったことがあると思います
工作用に使うのが一般的ですが、はがれた壁紙をくっつけたり、家の机や椅子を直してみたりなど、その用途は幅広く、人々に愛されている製品です。
社名であり、主力商品の商標でもある「セメダイン」の始まりはなんだったのか。
今回は、セメダインという商標の歴史と由来を追っていきます。
商標セメダインの由来
セメダイン株式会社は、大正12年11月に創業し、合成接着剤を日本で初めて製造販売した会社です。
「接着剤」という言葉は、創業者の今村善次郎が名付けました。
「セメダイン」のブランドは、黄色いチューブの「セメダインC」で広く知られていますが、売上全体の約8割は建築建材市場をはじめ、電機、輸送機、包装紙などの工業市場向けの製品です。
今後、接着の技術にナノやバイオの技術を取り込んでいけば、新たな分野にも需要が広がる可能性があるとみられています。
社名であり商品名でもあるセメダイン(CEMEDINE)は、接合材であるセメント(CEMENT)と力の単位を表すダイン(DYNE)との造成語で、「強い接合・接着」という意味が込められています。
これが一般的に言われている商標の由来ですが、実はこの他に、もう一つ意味があるそうです。
大正時代、市場で隆盛をきわめていたのはイギリス製の「メンダイン」と呼ばれる接着剤でした。
セメダインの創業者の今村善次郎は、「メンダイン」を市場から「攻め(セメ)」出すという意味で、「攻め(セメ)出せ、メンダイン」かたセメダインの商標を考えたそうです。
海外製品に打ち勝とうとの闘志を込めた商標だったのです。
当時はまだ「接着剤」という言葉はなく、一般的に接着するものは「のり」と呼ばれ、また、産業界では「接合材」または、「こう着材」と呼ばれていました。
そこに今村が「接着剤」という言葉を持ち込んだのもこのころの話です。
「セメダイン」という名称は、昭和6年7月に商標として登録されました。
サインはC
セメダイン社の製品には接着剤に限らず必ずといっていいほど「C」のマークがついています。
このマークは昭和33年頃、工業用18リットル缶のデザインに使用されたのが最初です。
本来は、シンボルマークとして特別に作ったものではなかったようなのですが、いつのまにか、セメダインを見分ける標章として消費者に認知されるようになったので、企業イメージ統合のシンボルとして使用されるようになりました。
2003年12月には、セメダインブランドの正しい運用を目指して「コーポレートブランド 統一視覚表現管理・運用マニュアル」を制定します。
「セメダインC」のC、英語で書くと「CEMEDINE」と、頭文字に「C」が来ます。
いずれにしても、セメダインにとって「C」は特別な意味があるのです。