東京都の地域ブランド商標である江戸指物(えどさしもの)は、平成19年(2007)4月27日、江戸指物協同組合によって地域団体商標に登録されました。
指物とは釘など接合部品を使わず、木と木を組み合わせ作った家具や器具の総称です。
持ち物としては、女性の髪飾り、櫛(くし)や簪(かんざし)、武士のもつ旗や飾りなど。
調度品としては、タンス、机、台、棚、箱物、火鉢、茶道具、そのほか、邦楽器や楽器用品など多岐にわたります。
東京都の地域ブランド商標江戸指物とは
指物の生産地としては、東京都のほかに、京都の京指物、大阪の大阪唐木指物が有名です。
中でも江戸指物は、華美装飾を嫌う江戸っ子の気風の中で育まれたことで、質素なつくりながら、素材の木目の美しさを活かし、見えないところほど細工をほどこす職人の心意気が反映されています。
素材は、桑、欅、桐など木目のきれいな原材料を使います。
塗りは、ハケで漆を塗ったあとに布でこすって余分なふき取る工程を何度も繰り返す「拭漆(ふきうるし)」、いったん塗った漆を鏡面のようにきれいに磨き上げる「蝋色(ろうろ)塗り」など丁寧な仕事が特徴です。
装飾のないものが一般的ですが、装飾する場合は蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)でワンポイントだけ入れたものがあります。
東京の地域ブランド商標、江戸指物の歴史
指物が作られるようになったのは、平安時代の京都でした。
当時は大工職人の技能一つとして継承されていたようです。
室町時代以降になると、調度品の需要が増えたことで、大工職から分化して専門職化していきました。
とくに、平安の時代から大都市であった京都や大阪で盛んでしたが、その文化が江戸に伝播したのは、江戸幕府の開闢に端を発します。
戦国時代が終わり、平和な時代になると江戸に大量の人口が流入し、急ピッチで都市づくりを行う必要がありました。
そこで幕府は全国から職人を招き、職人町を築いて支援し、手工業の発達を促したのです。
現在でも東京都中央区日本橋の付近に残る、鍛冶町、紺屋町などの地名は、そのときの職人町の名残です。
当初は出稼ぎとして江戸にきていた職人たちでしたが都市の急速な発達とともに仕事が急増し、やがて江戸に落ち着き職人文化を形成していきます。
京や大阪から招かれた指物師もそうして江戸に腰を下ろしていきました。
江戸から東京都になり、機械化による大量生産が始まると、手工業の指物は衰退していきますが、そんな中でも伝統の技術を残そうという動きが出始めます。
昭和35年、後継者不足を懸念した指物職人の有志35人程が集まり「和家具研究会」を結成。これが江戸指物協同組合の前身になりました。
昭和58年に研究会から協同組合へと改組すると、同年、東京都から伝統工芸品指定産地組合の指定を受け、さらに、平成9年には通商産業省により伝統的工芸品の指定を受け現在に至っています。
参考:
東京都伝統工芸士会
東京都 産業労働局 商工部 経営支援課
伝統的工芸品産業振興協会
東京都中小企業団体中央会
江戸指物の商標登録情報
登録日 | 平成19年(2007)4月27日 |
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出願日 | 平成18年(2006)4月1日 |
先願権発生日 | 平成18年(2006)4月1日 |
存続期間満了日 | 平成29年(2017)4月27日 |
商標 | 江戸指物 |
称呼 | エドサシモノ |
権利者 | 江戸指物協同組合 |
区分数 | 1 |
第20分類 | 東京都台東区及びその他周辺地域において生産される家具(指物に限る。)【類似群コード】20A01 |